前回の記事で「兼語文」という文法の一種として、使役文があるということをご紹介しました。
使役文は、「~に~させる」という使役の意味を表し、使役マーカーとしては下記でご紹介する5つが用いられます。
同じように使えれば楽なのですが、それぞれの使役マーカーは意味・用法上の違いがありますので、違いに注意しながら使用する必要があります。。
1. 使役の語順
まずは使役文の語順を見ていきましょう。兼語文の一種ですので、兼語文で学んだように、”让”という使役マーカーの後の目的語が、その後の動詞の主語を兼ねることになります。
主語 + 让 + 目的語(=主語) + 動詞
「老师常常让我们。」と「我们背书。」という二文から構成され、「我们」が前半部分の目的語、後半部分の主語となっているので、使役文は兼語文の一種として扱われます。
2. 5種類の使役マーカー
それでは、5種類ある使役マーカーの用法を紹介していきます。
①让,叫
“让”や”叫”は、使役の代表格で「~させる」と翻訳され、目上の人が目下の人に何かをさせるときに使います。
父は私を日本に行かせてくれません。
“让”と”叫”の使い分けは、下記のようになっています。
- 让 → 話し言葉、書き言葉
- 叫 → 主に話し言葉(やや命令口調、くだけた表現)
让だけが使われるケース
1. 正式な表現
会社は彼にこのプロジェクトを任せることを決めました。
2. 謝罪を含んだ丁寧な使役
“让”は目下の人が目上の人に対して使うと、謝罪を含んだ丁寧な使役になります。丁寧な謝罪の場合、”我”は言いません。決まり文句として良く使われるので、このまま覚えておきましょう。
②请
“请”はもともと「~してください」という意味の動詞で、目上の人やあまり親しくない人に勧めるときによく”请”が使われます。英語のPleaseみたいな感じで動詞の前に付けて丁寧な感じのお願いになります。
そこから派生して、目上の人やあまり親しくない人に何かお願いするときにもこの”请”を使います。
③使
“”让”、”叫”、”请”とは異なり、積極的に働きかける使役動詞ではありません。ある出来事が原因で自然とある結果をもたらすものを表します。
結果は非動作的なもので、何らかの状態・変化・心理活動をさします。
度重なる失敗で私は自信を失いました。
④令
“使”と同様、意図的に人を行動させるのではなく、ある原因で何らかの勘定を変化させる時に使います。後ろに感情や気持ちを表す言葉がきます。
“令人”は慣用表現や決まった表現で使われることが多いので、それを覚えるのが早そうです。
人を感動させる
人を喜ばせる
人を満足させる
人を怒らせる
人に失望させる
人をつらくさせる
人をうんざりさせる
人を敬服させる
人に尊敬させる
人を困らせる
最後の”令人”は慣用句として覚えるのが早そうですが、残りの4つの使役マーカーについては目上か目下か、積極的に働きかけるか非動作的なものかで使い分けをきちんと覚える必要がありそうです。
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